1968年、後に数多くのロック・バンドを輩出することになる九州エリアの中心地・博多の街を、華がある顔立ちと人目を惹く長身の青年が足早に歩いていた。大学に通うための定期券を手に、久留米からやって来た青年の目的地は、ダンス・ホール。そこに出演していたバンド、ジ・アタックに会うためである。2年後にはギタリストとしてサンハウスに参加し、75年にレコード・デビュー。永遠のパートナーといえる故シーナさんと1978年にシーナ&ロケッツ結成以降は、東京へと活動の拠点を移すその青年・鮎川誠は、中学時代からロックやブルースの情報を入手することにかけては久留米でも人一倍熱心だった。とにかく夢中で仲間と音楽を聴き、ギターを学んだ日々——60年代、鮎川誠のロック/ブルース探求記。